獨協人登場

株式会社インフォハント 代表取締役
総務省 地域情報化アドバイザー
安藤未希さん　（2010年 経済学部経済学科卒）

ゼミでは社会保障を学び、在学中に司書資格を取得。日本、マレーシア、カナダでの就業や留学を経てコロナを機に帰国。2022年メディア情報リテラシー教育を行う株式会社インフォハントを設立。「自分らしく生きる人を増やす」をミッションとして活動している。

メディア情報リテラシーとインフォハント設立

小学生からお年寄りまで様ざまな世代に向けてメディア情報リテラシー教育を行っています。全国の学校や企業でお話しさせていただくのが主な仕事です。
このメディア情報リテラシーを考えるきっかけになったのは、大学時代の2つの経験でした。「女性とメディア」という全学向け授業で、発信される情報には意図がある、と知ったこと、また、日本一周をして現地の様ざまな方と触れ合う中で、マスメディアで報道されることは一部であり、報道されない情報が多くあることに気が付いたことでした。
大学卒業後はメディア情報リテラシーについて個人的に考えることはありましたが、特に関わりのない仕事に従事していました。新卒で入社したコールセンター運営会社では、複数のコールセンターの立上げに関わりました。その後、ご縁がありマレーシアの食品商社へ転職し、業務プロセス改善に取り組みました。そしてカナダのカレッジでヒューマンリソースマネジメントを学んだ後、現地の英国系旅行会社に就職し北米子会社の立ち上げに従事するなど、それまでのキャリアでは主に組織作りに関わってきました。そんな中、コロナが蔓延し帰国することに。帰国するにあたって、自分は日本で何がしたいのだろう、何ができるのだろう、と考えた結果、それはメディア情報リテラシーを日本で広めることだと思い、個人で活動を開始しました。その後2022年に法人化し、現在に至ります。
メディア情報リテラシーを日本で広めたいと考えるようになったのは、マレーシアとカナダでの経験からでした。特にカナダは多民族国家のため、複数言語で情報を得ている人が多く、その結果として情報を多面的に考える人が多いように思いました。また、異なる文化を持つ人々が共存していることで、情報の解釈も人それぞれ異なって当たり前、という考え方がありました。このようなことは日本ではあまり考えられていないように思いましたが、日本人にも必要であり、それを伝えていきたいと思いました。また、在外投票のために情報収集を行っていた際、インターネットの情報の真偽に疑問を持ちました。このことがきっかけとなり、カナダで会社員として働く傍ら、日本のファクトチェック関連団体にてオンラインでボランティアを始めました。ファクトチェックにはコロナ禍以降本格的に関わり、またファクトチェック専門メディアを運営する一般社団法人リトマスを仲間と設立するに至りました。このファクトチェックに携わる中で得た、情報の確認方法や情報についての考え方も、日本の多くの方にお伝えしたいと思うようになりました。そしてそれらはメディア情報リテラシーという枠組みの中で伝えていけると考え、自分で法人を設立し取り組んでいくことにしました。
 

やりたいことに全力で取り組んだ大学時代

学生時代、お酒を飲んでばかりいた時期もありましたが、やりたいことを見つけてからはお酒を飲むのをやめ、様ざまなことに取り組みました。2年生のゼミでは「誰もが安心して生活できる社会にはどのようなことが必要か」について考えるため社会保障について学んだり、衆議院議員事務所でインターンをしました。また、司書過程を履修し、図書館の役割や情報、知る自由、表現の自由、検閲、などについて考えました。これはメディア情報リテラシー教育につながる部分が多くあり、現在の仕事に活かされています。3年生の時には、アルバイト先に来店する海外のお客様を接客したいという想いから、大学内で行われていた「毎日レッスン！実践英会話」というクラスに1年間参加しました。苦手だった英語に毎日接することで、英語でコミュニケーションを取る楽しさを知りました。クラス終了後も、先生に会いにイギリスへ行ったり、クラスメイトに会いにニューヨークへ行ったりするなど、今でも交流があります。4年生の時には夏季休暇にカナダへ短期留学をし、カナダが大好きになりました。このことがきっかけで、数年後にカレッジ留学、現地就職をすることになります。振り返ってみると、大学時代に経験した様ざまなことが現在の私につながっていました。

これからの活動

インフォハントのビジョン「すべての人が自分らしい毎日を送る、多様な価値観を認め合う社会」の実現のため、メディア情報リテラシー教育や、必要に応じて他のことも行っていきたいと考えています。私たちは毎日数限りない情報に接していますが、情報について改めて考えたことがある人は少ないでしょう。まずは自分の接している情報について考えるきっかけ提供し、自分の情報取得について振り返るところからお伝えしていきたいと思っています。

インタビュー当日は、午前中に都内の小学校で講演され、午後のインタビュー後には翌日の高知県の小学校での授業のため羽田空港へと向かわれました。多忙な中で取材協力をいただきました。ありがとうございました。（取材：佐藤祐一、飯塚勝久、中島智子）

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