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現役生が海外で働く先輩にインタビュー 「フランスで働くこと」

獨協人登場2023.10.21
現役生が海外で働く先輩にインタビュー 「フランスで働くこと」

今年日本上陸40 周年を迎えたフランスのファッションブランド「アニエスベー」の社員、フリーランスの通訳としても活躍する高野さんは、フランス在住歴30 年。
これまでにパリ国際見本市や企業の商談会などの通訳を務め、フランスと日本の架け橋としてキャリアを築いてこられました。
今回、フランス語学科の現役生が高野さんの学生時代から現在のキャリアに至るまでの道のり、お仕事についてお話を伺いました。

CMC agnès b .(アニエスベー株式会社)
ファションショーアドバイザー・広報
日仏通訳・コーディネーター
高野 陽子さん(1990 年フランス語学科卒)

獨協大学に進学した経緯・大学生活

高校時代から英語やスウェーデン語、中国語を学んでいたので、大学では英語以外の外国語も学びたいと考え、語学教育に力を入れている獨協大学を受験しました。
フランス語学科を選んだ理由は、サン=テグジュペリの『星の王子さま』を日本語で読んで感銘を受けたことから。
いつかフランス語で原文を読むことを夢見ていました。
大学入学後は、体育会ゴルフ部に入部しました。1、2 年生の時は部活動に明け暮れ、学業をおろそかにしていたため、補講を受けることもありました。
転機が訪れたのは大学3 年生の夏。フランスのディジョンでの夏季フランス語研修に参加したことがきっかけで、部活動を辞めてフランス語の学習に専念するようになりました。


短期留学では、カルチャーショックと同時に感謝の気持ちをフランス語で伝える難しさに直面しました。
このことがきっかけで、さらに深くフランス語を学ぶべく、4 年生の時に1 年間休学してヴィシーに留学しました。
留学経験を通じて、フランス語でのコミュニケーションの難しさを実感しましたが、恩師やホストファミリーに支えられ、生のフランス語を学び、貴重な経験を得ることができました。

1989年3月 ヴィシー留学時代

フランスで働く

大学を卒業後は、東京日仏文化協会のスポーツレジャー部に務め、フランス発祥のスポーツであるペタンク等のイベント企画や運営を行っていました。
仕事でフランス語を使う機会もかなり多かったです。3 年半勤務した後、再びフランスに留学をするために退職し、ソルボンヌ大学の文明講座で学び始めました。
文明講座の修了と同時にフランス人と結婚し、フランスで働くことになりました。

フランスでの働き方・日本人であることの強み

フランスでの働き方は主体性が問われます。
たとえば、フランスでは上司にお伺いをたてることは少なく、自分で決断する機会が多くあります。
そのため、自分自身でコントロールしながら仕事を行う必要があります。
私は、フランスで働く上で日本人であることが自分の強みだと考えています。
丁寧な仕事や細かい配慮など、日本人である私だからこそできることを大切にし、信頼関係を築いています。
また、笑顔で明るい印象を与えることも大切にしています。

アニエスベーとフリーランス、「2足の草鞋」

現在はアニエスベーで社員として働く傍ら、フリーランスとしても活動しています。
アニエスベーに入社した経緯は、以前マルセイユに10 年住んでいた時に「この先、フリーの仕事だけではフランスに住み続けることが難しい」と思ったからです。
アニエスベーでは、社員として働きながら、複業としてフリーランスの仕事を掛け持ちして働くことが可能です。
アーティスト兼社員も多くいます。このように自分の仕事をコーディネートできる環境がフランスではよくあります。
私は主にショップ内のアドバイザー、日本のアニエスベー向けに社内報執筆、日本からのお客様のご案内を担当しています。
アニエスベーの特徴として、文化的な人とのつながりが深いことが挙げられます。芸術関係者を雇用したり、フランス本国ではコマーシャルをせず、コマーシャルにかかる費用を芸術家への支援、各種救済活動への支援などに充てています。
アニエスベーはファッションだけでなく、フランス文化や救済活動を支援しているブランドであるといえます。
 フリーランスでの仕事では通訳や翻訳を行っています。通訳や翻訳の仕事をするにあたり専門の学校には通っていませんが、日仏文化協会で働いていた経験や留学経験が活きています。
これまでに、パリ日本国際見本市ブースや企業の商談会などの通訳をしてきました。
通訳に関しては、経験はもちろんのこと、その分野の知識を持つ必要があり、下準備を入念に行っています。

アニエスべーの創業デザイナーであるアニエス・トゥルブレ氏とパリの本店にて


 国際見本市メゾン&オブジェ/サロン・デュ・サケ

これからの夢、卒業生・在学生へのメッセージ

「日仏の架け橋になれる仕事」を生涯続けていきたいです。
具体的に何をやりたいかは決まっていませんが、一生できる仕事を探していきたいと思います。
劣等生だった私でも、今では30 年近くフランスで暮らしています。
最初につまずいても、始めるのに遅すぎることはありません。
また、学科にとらわれずに、さまざまな職業に挑戦してほしいです。
実際に、フランス語学科の卒業生でもさまざまな職種で活躍している人がたくさんいます。
頭の中を柔軟に、獨協で学んだことを自分でどう活かせるか、学生生活を通じて得たものをひとつの経験としてとらえてほしいです。


オンラインで行われたインタビュー
 上:高野さん 下:インタビューに協力してくれたフランス語学科の学生たち