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奨学生通信 阿部夢果さん(2021年言語文化卒)

同窓会奨学金2022.10.11
奨学生通信 阿部夢果さん(2021年言語文化卒)

同窓会奨学生OG 阿部 夢果さん(2021年国際教養学部言語文化学科卒) 
学生時代に東アフリカ・ウガンダでインターンを経験。ウガンダでの経験をきっかけに、現在ケニアの信用スコアパスポートを活用した中古車ファイナンス会社で働く。学生時代に感じた新興国での雇用創出の想いを軸にケニアの地で奮闘する阿部さんにお話を伺った。

がんばる現地の方を「評価」でサポート

 業務は端的にいうと中古車ローン。ケニアのタクシードライバーさんは自分で車を持っていない方が多く、富裕層から車をレンタルして仕事をしている状況です。自己所有したくても、日々車を借りるお金が必要になってしまうので、貯金ができず車を所有できないジレンマに陥ってしまっています。
 そこでフィンテックを使ってドライバーさんの「評価」を行い、「信用」を目に見える形にしてローンを借りやすくしています。毎日コツコツ働いている人の努力が報われる仕組みを作りたいというのが、会社のビジョンです。
 私自身はこの会社で、ケニア人スタッフのマネジメントと返済・貸出の管理をしています。創業者の2人を除いて現地で働く日本人は私だけで、文化の違いなど難しい面もあり試行錯誤の連続ですが、やりがいを感じています。

ケニアで働くに至るまで

 ウガンダでのインターンに参加したきっかけは、「あしなが」の学生運動です。小学生のころに父親を亡くした私は、高校・大学と「あしなが育英会」の奨学金を借りていました。学生団体の活動は、街頭募金活動や同じような境遇の小中高校生に対して心のケアをするなどの内容です。この街頭募金は長い歴史があり、長年日本の遺児高校生・大学生の奨学金を使途としてきましたが、私が大学に入学した年から募金額の半分をアフリカ遺児支援に使うことになりました。
 しかし、実際に街頭に立って支援を呼びかけてみると「日本にもまだまだ困っている子どもがいるのになぜアフリカ」と疑問を投げかけられることもありました。もっとアフリカの子どもたち・学生たちを近くに感じてもらわなければ理解を得られないと気付くと同時に、私たち自身も何も知らないから伝えられないということを痛感しました。学生団体の代表者を集めての現地視察が私の初めてのアフリカ渡航で、翌年に長期インターンシップに参加するきっかけになりました。
 ウガンダでいわゆる「支援・援助」に携わりながら、常にそれらの活動の限界や弊害を感じていました。奨学金の支援に力を入れ、高校・大学を卒業できる人が増えても失業率50%とも言われる状況では働き口が見つからず、スリなどの犯罪や賭博で生計を立てる若者が多くなってしまっています。
 「働いて、給与をもらって、生活する」というサイクルに入れる人を増やしていかなければならないと実感しました。
ウガンダから帰国してすぐにコロナ禍が始まり、残り1年だった大学もオンライン授業になってしまいました。幸い大学の単位は順調にとれていたこともあり、学業もやりながらオンラインでインターンを探していたタイミングで今の会社を見つけました。「誠実な努力が報われる社会」をビジョンに掲げるこの会社で、ウガンダで気付いた課題を解決するために行動を起こしたいとインターン参加、そして新卒入社を決めました。今はサービス展開はケニア国内のみですが、近いうちにウガンダにも、と考えています。


世の中に貢献できる人間に

 私自身が奨学金という形で人に、社会に支えられてここまできたので、微力でも少しずつ社会に還していきたいですし、それがケニア、アフリカのためになると信じています。生まれた環境や育った環境が将来の可能性を決めてしまうのが今の世界の現状だと思いますが、努力や積み重ねを可視化することでチャンスを掴むことができる状態を、まずは金融サービスから作りたいです。母子家庭で育った私は、認めて、後押ししてくれる人や環境にたまたま巡り会えたことに本当に感謝していますが、誰しもにそういった環境があるわけではないので、ないものは作っていこうと思っています。
また勉強そのものが好きなので、どこかのタイミングで学業に戻りたいとも考えています。日本語もしくは英語であればどこでも学べるなという自信がついてきたので、日本の大学に限らず大学院進学等も検討しています。自分のスキルをさらに身に着けて、よりよい世の中にするために貢献していきます。